宇宙太陽光発電のために必要な技術

宇宙太陽光発電は、太陽光発電の持つ利点をさらに活かすことのできる画期的な方法として、多くの人から注目されている手段です。

しかし未だに実用化するためには多くの問題点が存在しています。宇宙太陽光発電を実用化させるためにはどういった技術が必要になるのかを確認することによって、太陽光発電が、より画期的な技術になっていくことは間違いありません。

太陽光発電を実用化するために必要となる技術の代表的なものは、いかに宇宙で作られた電気を地上に送るかというものです。

現在行われている方法としては、電磁波やレーザーに変換することで地球上に電力を供給するという方法ですが、効率よく電磁波やレーザーに変換を行うということもまた、高い技術を必要とするものです。

さらにこういった電磁波やレーザーといったものを確実に中継基地に届ける方法や、周辺の生態系に悪影響を及ぼさないようにするための配慮など、様々なことを考える必要が有るのです。

また人工衛星で使用される太陽光発電のシステムも、現在使用されている太陽光発電システムだけでは不十分となってしまいます。宇宙空間で運用されることを考えた場合、より軽く、丈夫な太陽光発電のシステムを作り出す必要があるのです。

さらには宇宙空間で機材の不調が起こった際に、修理を効率よく行っていくことができるためのロボット開発なども、宇宙太陽光発電を実用化していくためには欠かせないものになるのです。

宇宙太陽光発電を実用化していくために必要な技術は、太陽光発電に関連するものばかりではなく、その機材をいつまでも使用していくための環境を整えるなど、様々な観点から行われるものになるのです。

宇宙太陽光発電の利点

宇宙太陽光発電を利用していくためには、レーザーや電磁波などによる影響を考慮しなくてはならないことや、宇宙空間でもメンテナンスが可能なロボットの開発が必要など、非常に多くの問題点が存在しているものです。

しかし多くの技術者が、宇宙太陽光発電の開発に積極的に取り組んでいるのです。それには宇宙太陽光発電という技術が、現在普及している様々な発電方法と比較しても大変優れたものであるという何よりの証明であると言えます。

では具体的にどういった点で宇宙太陽光発電は優れているのでしょうか。やはり太陽光発電の優れている点として挙げられるのは、多くの電力を供給することができるという点にあります。

宇宙太陽光発電のために使用される人工衛星１機で賄うことのできる電力は、原子力発電所と同程度であるとされており、非常に多くの電力を安全に供給することのできる手段として注目を集めています。

また通常の太陽光発電と同じく、環境に与える影響も小さく、自然環境を保護するという目的でも宇宙太陽光発電は非常に優れた役割を担っているといっていいでしょう。

原子力発電と同じだけの電力を地球環境への影響を最小限に抑えながら発電することができるということを考えれば、いかに宇宙太陽光発電が、発電技術として優れているものであるかがわかると思います。

スペースデブリや、宇宙での大型建造物の管理など、技術的な問題も非常に多くなっていますが、それを差し引いても、宇宙太陽光発電の持っているメリットはたいへん大きなものになるのです。

日本における宇宙太陽光発電

宇宙太陽光発電は、太陽光発電のより優れた利用方法として、世界中の国から注目されているものです。

日本もその例外ではなく、日本の宇宙開発のトップである、宇宙航空研究開発機構でも、積極的に宇宙太陽光発電を実用化するための研究がなされています。

宇宙高級研究開発機構の計画では、日本国内で宇宙太陽光発電が実用化されるのは、２０２０年から２０３０年にかけての計画で開発をしています。

宇宙太陽光発電の実用化に向けた研究は、ここ数年で着実に成果を見せているものです。

例えば２００７年には、JAXAを中心に結成された研究グループが、太陽光をより効率よくレーザーに変換することのできる技術を開発し、実際に宇宙空間で利用していくために必要になるレベルのものを作り出すことができるようになっています。

そのほかにも電力をマイクロ波に変換するための技術も日本国内に存在している数多くの研究機関によって開発がなされており、実用化が可能なレベルになっているものもあるという報告が多数なされています。

そうした実用化可能な技術が集まることで、宇宙太陽光発電が可能になり、今よりももっと安全に大きな電力を供給することのできる方法が確立していくことになるのです。

近年では惑星探査機であるはやぶさ２の打ち上げが成功する等、日本国内の宇宙開発が注目される機会も増えてきていますが、その一環として、日本国内で作られた宇宙太陽光発電の設備が実用化されるということも考えられるのではないでしょうか。